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まず、ひとつ質問をしましょう。一体、製薬会社の中で最も価値を創出している部署はどこでしょうか。例えばある医薬品の価格が100円だとします。前回説明したバリューチェーンの考え方から、それぞえの部署や部門が100円のうち、どの程度の価値を作り出しているのでしょうか。もちろん答えは単純ではありません。製品の種類や会社によって大きくことなると思います。MRが何もしなくても売れるようなピカ新ならば、研究所の果たす役割は重要です。100円のうち半分以上が研究所で価値が作られているかもしれません。抗生物質のような製品であれば当然MR活動が売上に大きな影響を与えるでしょう。今度は営業部門が100円のうち半分以上の価値を生み出していることになるかもしれません。
価値創造の大きさを計る指標としては投資活動があります。価値を生み出すためには投資が必要です。当然のことながら、投資された部署には投資に見あった価値の創造が期待されます。投資の大きさをみる限り、製薬会社の研究開発には100億円単位で投資されているので、この部門が医薬品の価値創出の大きな部分を占めていると理解できます。研究所では、最新の実験機器、分析機器、実験材料など、MRの活動経費よりもずっと大きな金額が投入されていると想像できます。しかも、最近の新聞記事を読むと、革新的な医薬品開発のため製薬会社の研究開発への投資活動はますます盛んになる一方です。
ところが、このような形で投資活動を見ていると、各部門における人件費あるいは、人的投入についてはつい忘れがちです。たとえば、製薬会社の中で最も従業員が多い部門はどこであるか考えたことがありますか。製薬協のデータによると、全従業員における営業部門の従業員比率が50%近くに達しています。大雑把ですが、製薬会社の従業員比率は、管理部門10%、製造部門20%、研究部門20%、営業部門50%となっています。さらに重要なことは、この比率が今日まで一貫して増えつづけている点です。
製薬会社にとって研究開発は事業の本質部分といえますが、より多くの人が営業部門に投入されている事実が見過ごされているのではないでしょうか。
人が多く投入されるということは、それだけその部門において多くの価値が付加されていると解釈することができます。
最後に、マーケティング的に製薬会社のバリューチェーンを整理してみましょう。価値創造プロセスでは研究開発と営業部門が大きな役割を果たしていると思われます。しかし、資源の投入法が大きく異なることから、それぞれが質的に異なる価値を医薬品に付与していると理解できます。
MRが医薬品にどのような価値をどのような方法で付加しているかについては、この講座を通して、すこしづつ解説していきたいと思います。
産能短期大学専任講師 内藤英俊
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