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今回は価値という言葉について少し考えてみましょう。マーケティングの定義の最初に「マーケティングとは価値を創造し、(以下省略)」から始まります。マーケターはモノ(やサービス)ではなく価値を提供します。
価値という言葉は誰でも知っていると思います。経済学的に定義すると価値には2つあります。一つは効用価値。もう一つは交換価値となります。簡単に説明すると、自分が得られた満足が効用価値で、それを金額で表すと交換価値となります。購入したモノやサービスから得られる満足度が高くても、価格が低ければ、「効用価値が高く、交換価値が低い」、ということになります。別の講義でこの2つの価値について触れますので、ここでは言葉だけ覚えていてください。
それでは「価値の創造」を少し具体的に考えてみましょう。2つ例をあげます。マーケティングの教科書でたびたび取り上げられのはドリルです。顧客は無論ドリルというモノを買っているのですが、「ドリルの価値」という視点で考えると、顧客は「孔」を買っていることになります。ですから顧客は同じ価値を得るために、ドリルではなく、孔の空いた材木買っても良いでしょう。2つの板をとめるために孔を空けるならば、顧客はドリルの代わりに接着剤を買ってもよいでしょう。
次は冷蔵庫です。価値の視点で考えると「保冷による食料品の長期保存」という価値が冷蔵庫にあります。このように考えると、冷蔵庫は食料品が腐敗するような温暖な気候でしか売れないでしょう。しかし、冷蔵庫の機能は「食料品の長期保存に適した低い温度を一定に保つ」ことです。したがって、同じ冷蔵庫であっても別の価値が考えられます。それは、「食料品が凍るのを防ぎ、食料品がすぐに調理できる状態にしておく」という価値です。この場合、冷蔵庫はエスキモーなどの極寒冷地で売ることができます。この場合、もし極寒冷地で売り手も買い手も、冷蔵庫の価値を「保冷による食料品の長期保存」と認識している場合、取引は決して成立しません。そのような場所では食料品は腐るわけはないですから。しかし、冷蔵庫の機能を見なおすることで、同じ冷蔵庫でも新たな価値を提供することができます。極寒冷地でも冷蔵庫によって食料品が凍らなくなり、エスキモー人は調理に取り掛かるまでの段取りがとても簡単になったはずです。価値創造という視点から考えると、はじめてエスキモーに冷蔵庫を売った営業マンはマーケティングをしていた言えるでしょう。
ドリルと冷蔵庫の例を自分が買った全ての商品にあてはめて考えてみてください。皆さんはモノを買っているのではなく、何らかの価値を手にいれているのです。ですから、その価値さえ明確になれば同じモノを買う必要はありません。ドリルの例のようにいくらでも代替品はあるのです。また、同じ商品でも時と場合によって、冷蔵庫の例のように求めてる価値が変わる場合があります。
それでは医薬品の価値は何でしょうか。ドリルのように代替品はあるのでしょうか。冷蔵庫のように、時と場合によって異なる価値を持っているのでしょうか。これについては次回考えましょう。
産能短期大学専任講師 内藤英俊
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