一. 守秘義務とは
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刑法第一三四条
医師、薬剤師、薬剤商、産婆、弁護士、弁護人、公証人又ハ此等ノ職ニ在リシ者故ナク其業務上取扱ヒタルコトニ付キ知得タル人ノ秘密ヲ漏洩シタルトキハ六月以下ノ懲役又ハ十万円以下ノ罰金ニ処ス。
刑法第一三五条
本章ノ罪ハ告訴ヲ待テ之ヲ論ス。
ここでいう秘密とは、一般に知られていない事実であって、患者自身が他人に知られたくない事である。その事実を公表することで客観的にみて本人が相当の不利益を有すると認められる事実をいい、その内容の如何は問わないとされている。
したがって、常務上知り得た病名、病状の他に既往歴、家族歴、嗜好等も含まれることになる。
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二. 職種と守秘義務規定
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病院のおもな職種と守秘義務規定
医師・薬剤師(刑法第一三四条)臨床検査技師(臨床検査技師・衛生検査技師等に関する法律第一九条)理学療法士・作業療法士(理学療法士及び作業療法士法第一六条)臨床工学技士(臨床工学技士法第四〇条)救急救命士(救急救命士法第四〇条)歯科衛生士(歯科衛生士法第一三条の五)
いずれの場合も現職時はもちろん、退職後においても秘密保持を規定している。
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三. 事務職員に対する守秘義務
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病院の各職種にはそれぞれ守秘義務規定があるが、事務職員に対しては法的な規定がない。けれども、国公立病院勤務であれば公務員の秘密保持義務が発生するし、民間病院においても就業規則の中の服務規定(心得)として機密の保持があり、「職務上知り得た機密を漏らしてはいけない。」と規定していることであろう。
この規定に違反すれば懲戒免職ということにもなる。そして業務上知り得た秘密を漏らし病院に対して損害を与えた場合には、病院としてもその者に対し損害賠償の訴えを起こす事も考えられる。
つまり刑事罰はなくとも民事罰(損害賠償)は課せられるということになる。したがって、法的に罰則規定がないからといって、他人に秘密を漏らしていいということにはならない。
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四. 秘密漏洩罪と罪に問われない場合
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秘密漏洩罪は親告罪といって被害者が告訴しないと裁判にかけることができないことになっている。(刑法第二六四条)告訴とは被害者が警察署あるいは検察庁に対し犯罪の事実を申告し犯人の処罰を要求する意思表示のことをいう。告訴は本人または代理人でもできるが、犯人を知った時から六ヵ月以内に行わなければならない。(刑事訴訟法第二三五条)また、告訴は起訴までに取り消すことはできるが、一度取り消した場合は同じ事件については告訴できない(刑事訴訟法第二三七条)
それでは、患者の秘密を漏らせば何が何でも秘密漏洩罪に問われるかというとそうではない。「正当な事由」とは何か。おもなものをあげると。(1)本人の承諾がある場合(2)裁判所で証人として証言する場合(3)法令により届出の義務がある場合(4)患者の秘密保護による利益よりも第三者の利益が上まわる場合等である。いずれにしても、病院職員たる者業務上知り得たる患者の秘密については言動を慎み職務遂行に励むことである。
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