一. 時効とは
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診療費の未払いについては、どの医療機関においても多かれ少なかれ発生しており回収に苦労されていることと思う。
医療機関における診療費の支払については受診当日の診療費を事前に患者に知らせる方法はなく、診察の結果支払額が手持ち金を上回ることもある。とくに、スーパーで商品を購入する場合のように、あらかじめ手持ち金と購入品目を見定めるというようなことができないし、自分で診療内容を選ぶということができないところに診療費の難しさがある。
だからといって、未払い分が発生してもそのままの状態ということは許されない。回収方法については各医療機関相当努力工夫していることであろう。いったん、未払いとなると回収するのに大変なエネルギーを費やすことになる。しかも、再三の電話や文書による催告にも応じないしたたかな患者もおり、根負けしていつの間にか時効となってしまうケースもしばしばみられる。
時効とは、ある権利関係が発生した際にその事実状態が長期間継続した場合においてその状態を尊重し認めることをいう。そして、一定期間権利を行使しないとその権利が消滅してしまう制度を「消滅時効」という。診療費の未払いに対して再請求することは、権利の消滅を中絶させ、時効期間の進行を振り出しに戻すことになり、これを「時効の中断」という。診療費の請求についての時効は、民法第一七〇条によって三年と定められている。したがって、その前に中断の方法を講ずることになる。
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二. 時効の中断方法
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時効の中断の方法としてもっとも行われるのが「催告」と呼ばれる方法である。一般的には電話と文書による催告が多いが判例においては、「何回催告したというだけでは、中断は確定せず承認にもあたらないからそのままでは時効は中断されない。」とされている。
したがって時効が迫っているような場合には、とりあえず「配達証明付書留内容証明郵便」で催告することによって、時効期間を六ヵ月間延長させ、その後訴訟を起こす方法をとるとよい。そして、判決が確定すると、確定したときからさらに10年間が時効期間となる。(民法第一七四条の二)
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三. 時効の起算日
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時効で気をつけなければならないのが、いつが「起算日」であるかということである。
起算日とは、権利者の権利行使の可能な日ということである。事項による期間日については、初日不算入と定められている。なぜならば、弁済日においてすでに二四時間を切っており、その日を一日として計算できないということで一日の端数を切り捨てるということで初日を算入しないのである。
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四. 援用と放棄
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時効をよりいっそう完全なものにするには、時効によって利益を受ける者が時効が成立したことを主張しなければならない。(これを援用という。)したがって、時効完成後に債務を弁済したような場合には、時効の利益を放棄したとみなされ、その後たとえ時効の完成を知らなかったと主張して返還を求めても認められないことになる。
【参考資料】
民法第一七〇条[三年の短期消滅時効]
左ニ掲ケタル債権ハ三年間之ヲ行ハサルニ困リテ消滅ス
一 医師、産婆及ヒ薬剤師ノ治術、勤労及ヒ調剤ニ関スル債権
二 技師、棟梁及ヒ請負人ノ工事ニ関スル債権但此時効ハ其負担シタル工事終了ノ時ヨリ之ヲ起算ス
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