回答は○×方式です。解答は一番下にございます。
[6] 医療機関の署名・捺印のクイズ(8問)
(1)
名と記名押印は同等の効力を持つ。

(2)
署名・記名・印鑑で一番効力があるのは、署名と共に捺印をした時である。

(3)
署名・記名・印鑑で一番効力が弱いのは、署名のみの場合である。

(4)
外国人の場合は印鑑は不要で署名のみでよい。

(5)
手書きで名字等を書き字の周りを囲んでサインしたものを書き判と言うが、実質的には効力はない。

(6)
病院印が押していない診断書は、法的には無効である。

(7)
入院の際の申込書と、規則等を遵守する旨の誓約書、及びそれ以外の文書には、別々の印鑑を押印するのが好ましい。

(8)
誓約書等の書類に、本人の指示なく勝手に記名押印した場合は、<私文書偽造>に該当し、三年以上五ヵ月以下の懲役に罰せられる。
[6] 印鑑(解説)
一. 印鑑の種類
 わが国は判子社会といわれるくらい日常頻繁に印鑑が使用されている。医療機関においても入院の手続に際しての誓約書、退院時の保証金返還手続き、診療費未払い時の誓約書、手術の際の承諾書等押印の場面は数多くある。
 では一体この印鑑とは何を意味するのだろうか。サインだけではいけないのだろうか。印鑑も三文判・認印・実印等あるが、それぞれ効力が違うのか。拇印はどうなのか。外国人の場合はどうなのか等々疑問が湧いてくる。毎日何気なく使用している「印鑑」について、主なものを説明すると、
三文判・・・文房具店や印鑑屋で売っているできあいの印鑑
実 印・・・住民登録をしている市区町村に自分の印として登録をして印鑑証明書の交付が受けられる印鑑
認 印・・・三文判、実印以外の印鑑
その他、「シャチハタ印」といって、印章の中に朱肉を組み合わせて朱肉をつける手間を省いた印鑑もある。

二. 署名と記名
 署名とは自分自身が自筆で書くこと、つまりサインをいう。記名とは自筆以外で記す方法をいう。たとえば、ワープロで表示したり、ゴム印を押したり、他人に代筆してもらった場合等である。この署名と記名との関係はというと署名と記名押印は同等の効力をもつとされている。したがって、記名だけでは署名の代わりとして認められないが記名の後に判子を押すことにより署名と同じ扱いにみなされるということになる。

三. 印鑑の相違による効力
書名のみの場合・・・本人が本当に署名したのかが問題となる場合があり効力はあるが、やや弱い。
署名と書き判の場合・・・署名よりもさらに意志表示したことになる。
署名と捺印の場合・・・押印のない場合に比べて、かなり確定的な意志表示をしたことになる。ただし、捺印としての効力は認められない。拇印する場合の指はとくに決まりはないが、一般的には親指や人差し指が用いられる。拇印する場合には朱肉をつけすぎることなく、鮮明に写るように押すこと。
署名と押印の場合・・・自署して押印ということは、本人が間違いなく承認したということで、どの場合よりもいちばん効力をもつ。押印する印の中でも実印がいちばん確実である。
記名のみの場合・・・効力はほとんどないと言ってもよい。
記名と押印の場合・・・署名と同等の効力があり、中でも実印による押印が最も効力がある。

四. 押印するということ
 押印するということは、その文章の内容確認し、本人自身が内容に間違いないということの意志表示を意味している。したがって、印鑑も本人のものであると判断できるようなものでなければならない。ところが現実には、三文判やシャチハタ印が横行していてそのような印鑑でも押印しさえすれば通用しているのが実態といえる。だからといって、安易に実印でないからと押印しようものなら、いったんトラブルになったときに「印鑑をおしてあるじゃないか。」と反論されてくることになりかねない。押印には上記のような意味があるということを認識し、各種書類に押印しまた押印していただくようにすべきである。

五. 外国人の場合
外国人はサイン社会で印鑑を押す習慣はない。したがって印鑑を持ち合わせている外国人は少なく、いきおい署名のみで済ますことになるわけだが、

明治三二年法律第五〇号[外国人ノ署名捺印及無資力証明ニ関スル法律]
第一条 法令ノ規定ニ依リ署名、捺印スヘキ場合ニ於テハ外国人ハ署名スルヲ以テ足ル
捺印ノミヲ為スヘキ場合ニ於テハ外国人ハ署名ヲ以テ捺印ニ代フルコトヲ得
この法律によって外国人の場合は印鑑は不要で署名のみでよいとされている。

六. 押印についての緒事項
(1) 印鑑にまつわる用語
判子・・・印章、印判と同じ意味で文字を刻んだものをいう。
印影・・・判子で押された跡のことをいう。
捺印・・・判子を押すこと。押印と同義語
さかさ印・・・よく斜目に押印したり、逆さに押印してある印影をみかけることがあるがこれは本人の意思表示の確認さえ残せばいいので、横であろうと逆さであろうと別に問題はない。ただし、時には相手に対する反抗的な意思表示と受け取られがちなので、押印前に印影の位置を確認することが必要である。
書き判・・・手書きで名字等を書き字のまわりを囲んでサインすることを言うが、これも拇印同様にないよりもましで単なる署名よりも最終的に意思表示したものとみなされる。
(2) 診断書に押印の病院印
 窓口で診断書を発行する際、ほんとうに病院印が必要なのであろうか。結論からいえば、とくに法的な規定はなく病院印が必ずしも必要ではないということになる。ただ、体裁を整えるためであるとか古くからの習慣で行っているとか院内システム上、会計窓口を通過させ料金徴収漏れ防止のため病院印を押印しているといったところが現状ではないかといえる。診断書は医師個人が医学的診断に基づいた結果を記したものであるから医師の印のみでよいということになる。
(3) 同一印による書類
 入院の際、申込み書と同時に規則等を遵守する旨の誓約書を書いていただいている。この際患者欄と保証人欄の押印を同一印で済ませている医療機関を見受けるが、これは印鑑が個人の最終意思を表示する証明ということであれば、本来別個の印鑑が用いられることになるわけで、同一印押印ということはいずれか一方の証明にはなっても、もう一方の証明にはならないことになる。したがって、誓約書そのものの信憑性が疑われる結果にもなりかねないので別々の印鑑を押印するように対応したいものである。誓約書以外の文書についても同様のことがいえる。
(4) 第三者による記名押印の書類
 もう少し誓約書について説明すると、実際手続き風景を見ていると申込み書あるいは誓約書の記入は同一人が行い、患者名、保証人名にそれぞれの印鑑を押印している。このようにしてできた誓約書において、万一トラブルが発生し連帯保証人に連絡しても当の本人は記名したことも押印したこともないといって応じない場合がある。それでは、第三者が本人の記名押印した場合は無効なのであろうか。記名とは前に書いたとおり代筆した場合でもよく、押印は最終的な本人の意思表示の証明でもあるわけだから原則として本人が行うべきであるが、第三者が記名押印したとみなされ結果的に第三者が本人の記名押印を代行したということで有効となる。しかし、後日、本人が承諾した覚えがない等主張された場合に困難を極めることにもなることから、本人同席の上自署していただくように対応すべきである。かりに、本人の指示なく勝手に記名押印の場合は、刑法第一五九条<私文書偽造>に該当し三ヵ月以上五年以下の懲役に罰せられることになる。

七. 押印の重要性
 押印するということは、必ず何かの権利義務が背景にあるということをまず念頭に置いて対応する必要がある。今は利便性が受けて簡易な「シャチハタ印」を多用する傾向にあるが、押印にはこれだけの意味がありまた責任もあることを肝に銘じて業務に取り組まねばならない。
解答
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